「チーム絆」ベトナムへ行く 【その1】


「チーム絆」がニート・フリーターの支援事業として、湘南に海の家をオープンしたのはもう3年前(2009年)のことになりました。
当時は、ニート・フリーターの彼らが将来どのような道に進むのかも全く良く分らず、何かきっかけを掴んで欲しいとの想いだけで海の家をスタートしました。
その経緯は渡辺照子代表の著書「絆」で詳しく語られております。
ところが、3年経過した昨今、嬉しい事に、主だったメンバーはそれぞれに社会の中に自分たちの場所を見つけ、巣立っていきました。
キッチンの責任者はその後、介護の仕事に就き、「介護の仕事は天職です」と報告にきたり、フロアーの責任者だったO君からは「何処か雨漏りはありませんか」と電話を貰い、よく話を聞くと、腕の良いシーリング職人として活躍しているそうです。また、会計の責任者だったT君は、自分でエアコンの取り付け会社を設立して、今年の夏は大忙しだったそうです。
この話は私たち「チーム絆」にとって何よりも嬉しいことです。本音を言って、全く予期しなかっただけに、嬉しい誤算にこみ上げてくる喜びが押さえきれません。
彼らは自分自身の力で、社会の中に自分たちの活躍する場所を、必要とする人々を見つける事が出来たのです。
これこそ、「チーム絆」が目指した自分の足で立つ自立です。


その中の一人、海の家の店長だったF君は、海の家終了後、某アパレル会社に就職しました。そして、なんと就職して間もなく、ベトナムのアパレル工場に赴任することになりました。ベトナム行きを私たちのところに報告に来た彼は、初めてのサラリーマン生活とベトナム赴任に希望に胸をときめかして…というよりは、私たちには不安に「おびえて」いるようにも見えました。
「大丈夫よ!海の家も立派にこなしたじゃない。」と叱咤激励して送り出したものの、彼の先行きに不安を抱えた気持ちに変わりはありませんでした。
そのときの勢いで、「そのうちベトナムに激励に行くから、それまで頑張って!!」とつい口走っていました。



そのときの言葉を実行する為に、ベトナムへ行って参りました。

でも、これは建て前。

今年の3月にF君は本社訪問に2日の休暇をもらい日本に一時帰国しました。
ベトナムのことを語る彼の表情は生き生きとして、誇りを持って仕事をしていることが伺えました。

何が彼をこんなに変えたのか、、、。

ベトナムへ行った最大の理由はF君の働いている姿を実際に見たいということでした。

地図で見ると、そんなに遠くはないベトナム。
F君の行く前とは全く違う、自信に満ちた笑顔と、まだ見ぬベトナムのイメージとが交錯して、 その時以来、私のこころにベトナムが小さな灯りをともしたかのように、煌めきはじめました。
早速、スケジュールの調整をして、ついに、ベトナムへと旅立つ日が来たのです。

つづく