日韓女性歯科医師会 交流会に参加して


6月の中旬、縁あって日韓女性歯科医師会 交流会に参加させていただきました。
丁度、夏至まであと数日という一年で一番陽の長くなるころ、漢江川がゆらゆらとブルーに染まりながら暮れる美しい季節です。
ソウルの漢江川はパリのセーヌ川に良く似ています。水量と言い、川の蛇行する姿や川を中心に出来上がった街並み等、川と生活が密着して発展してきた様子が、パリを思い出させます。


その夕暮れに染まる漢江川を見下ろす、ソウルのロッテホテルの宴会場は、50名以上の女性歯科医が盛大に集まっていました。交流会はもう4回を重ねているそうで、お互い遠い親戚のような挨拶から始まりました。
テーブルには出席者全員の名前と、日本語と韓国語のプログラムが置かれ、席順もお互いの話の接点ができるようにと、テーブルセッテイングからも、心遣いが感じられます。
交流会は研究発表や食事をしながらの懇談会という流れで進んでいきました。歯科医師という職業柄、専門的な歯科に関する発表もありましたが、子育てをする間仕事と家事との狭間で悩んでいるというような女性らしいテーマも話し合われました。
子育てをしている間、だれが自分を一番助けてくれたかという質問に対して、自分の母親と答えた方が日韓とも大多数、国は違えど実態は同じ、思わず全員で大笑いをしてしまいました。
最初は日韓女子インテリ軍団の集まりなので、さぞや難しい単語が飛び交い、形式的な式次第だろうと少し構えていましたが、皆様女性としての魅力たっぷり、美しい方々であったことは勿論の事、優しい声で話しかける仕草が上品で、私の想像をはるかに超えたものでした。それは信頼と尊敬の上に成り立った、なんと人のぬくもりに満ちた会合だったことでしょう!!
欧米人のようにハグをしたり、キスをしたりするような大仰なものではありませんが、挨拶の合間に交わされる言葉の表現など、実にきめの細かい配慮が伝わってきます。
同じアジアの文化圏にて、長い歴史のある民族間に通ずる安心感とでもいうのでしょうか。


これこそ、まさに文化交流。
こんな風に多くの方達が民間レベルでの交流を続け、この文化交流こそが国境を越え、世界を一つにまとめる源流となるのでしょう。


政治は一過性ですが、文化は永遠です。文化の力とはなんと大きいものでしょう。
人は意識なく、偏見を持ってしまうものです。それは他から与えられた知識なので、情報を発信する側のフィルターがどうしてもかかってしまうのかもしれません。恥ずかしい話ですが、私も「冬のソナタ」を見るまでは、人から聞いた韓国像が意識の中にあり、なんと偏見が多かったことか、最近韓国との行き来が増えるに従ってますます実感しています。




どうしたら、偏見を少なく出来るのだろうか?
それは実際に会うなり、見るなり自分の肌で体感することです。
超アナログ人間の私は、人と話をしたり、人の表情を見たりするのが、大好きです。
お互いにものすごい量の情報を人間は発信しています。それが簡単に理解できる人と、正確に把握できない人とに分かれますが、言葉が解ろうと解るまいとかには関係なく、理解しようとすることが人と人との原点です。
簡単に言いますと、まず相手の出している情報を潜在意識が猛烈な勢いで、自分の過去の経験データと摺り合わせをして、相手を理解しようとします。その時、食事やお茶を一緒にすることも大切な要素です。口を開けるということは、相手を受け入れますよという意思表示だからです。このことを覚えておくと、難しい話をするときの成功する確率が上がるかもしれません。そしてすごいのは、これはお互いに無意識下で行われ、感情としてはとても感じの良い人だったとかという感想だけが記憶に残り、プロセスは記憶に残らないことです。ですから、第一印象は大事ですし、自分の感じたものは大切にして自信を持つことです。デジタルも大切ですが、人と人はまず会って、それからすべてが始まるものです。
こんな風に自分の分析した相手の人間像と実際の相手が合致した時の喜びは、とても楽しいものです。私の場合、合致する確率は50パーセントくらいですが、これは年を重ねた者に対するご褒美でしょう。


話がそれてしまいましたが、このような韓日女性歯歯科医師会のみなさまが今なさっている地道な活動こそが、いつかお互いの国を超え、信頼と友情の大きな実を結ぶことと、確信しております。
多分、私の知らない多くの方々もこのような活動を続けられて日韓の懸け橋となっていらっしゃるのでしょう!!
韓日女性歯科医師会の素敵なみなさまに心より敬意と大きな拍手を送るとともに、日本人として、一人の地球人として、みな様を誇りに思っています。


チーム絆代表
渡辺 照子