『らくらく突破 ケアマネジャー試験によくでる問題集』2014年版発売



 技術評論社から“らくらく突破シリーズ”の最新版、『2014年版 らくらく突破 ケアマネジャー試験によくでる問題集』が発売されました。


 ケアマネジャーの問題集のシリーズは、2006年版が発売されてから、毎年、改訂を重ね、9冊目となります。



 今回は、チーム絆の一員としてどのような思いで毎年この問題集をつくっているか、少し述べてみたいと思います。

ケアマネジャーという役割

 ケアマネジャー(ケアマネ)という仕事を知っていますか?
 2000年度からの介護保険制度の導入に伴って創設された資格で、正式には介護支援専門員といいます。制度創設から10年以上経ちますから、名前くらいは聞いたことがある人は多いでしょう。「ケアプランをつくる人だ」とか「特別養護老人ホームや病院にいる」と具体的に思い浮かべる人もいるでしょう。


 では、具体的にどのような役割を担っているのでしょう。


 介護保険制度のサービスを利用するためにケアプラン(介護サービス計画)を作成することは、ケアマネジャーの仕事のなかでも大きな位置を占めているといえます。保険者である市町村や各サービス提供事業者などと連絡をとり、スケジュール調整なども行います。


 これは、ケアマネジャーの具体的な仕事(作業)の一例を挙げたにすぎません。先ほど、「仕事」ではなく「役割」と述べた理由はここにあります。


 介護保険制度は、介護が必要な状態になったとしても、その人が尊厳を保持して、自分らしく、自立した日常生活が送れるよう必要なサービスを提供することを基本理念のひとつとしています。


 介護を必要とする高齢者やその家族に対して、相談にのったり、必要とするサービスを必要なときに必要なだけ受けられるように、利用者の立場に立って、生活全般に寄り添って、側面から支援を行うのがケアマネジャーの役割として求められていることなのです。


 “できないことをしてあげる”のではなく、“できることを一緒にみつける”、そんな“寄り添うケア”が求められているのです。


 あなたが高齢になったり、病気になったりして、日常生活が思うようにならなくなったとイメージしてみてください。他人の助けを受けなければ日常の生活が送れなくなってしまった事実に、ショックだったり、不安だったりするでしょう。いざ、サービスを利用してみようと気持ちをきりかえても、どんなサービスが受けられるのかもよくわかりません。そんなとき、一番はじめに相談にのってもらう人が、ケアマネジャーなのです。

高齢社会の進行で、より質の高いケアマネが求められている

 一般に65歳以上を高齢者と呼んでいますが、介護の必要性は、75歳以上になるとぐっと上昇するといいます。いわゆる「団塊の世代」と呼ばれる世代が、2025年には75歳以上となり、2000万人を超えるとされています。また、認知症高齢者も増加を続け、現在では約300万人といわれますが、今後も増加することが見込まれます。高齢者夫婦のみの世帯や一人暮らし高齢者も増加しています。


 高齢者を対象としたアンケート調査によると、介護が必要になった場合、「自宅で介護してほしい」という回答が最も多く、また、最期を迎えたい場所も、「自宅」が最も多くなっています。


地域社会のなかの限られた資源やサービスを、必要とする人たちに公平に、適切に、効率よく利用してもらい、それぞれが自分らしい自立した生活を送れるように、専門的な知識や技術、そして高い志をもったケアマネジャーが求められているのです。


 しかし、実際に介護保険サービスを利用した方に話を聞くと、もちろん相性もあるでしょうが、人によって全然対応が違うといいます。利用者の立場に立つことが原則であるのに、利用者側が「いじわるされているみたい」と感じてしまうようなケアマネもいるようです。とても残念で、悲しいことです。

真のケアマネジャーを目指してほしい

 ケアマネジャーの試験を受験するためには、一定の資格や実務経験が必要です。合格率も平成25年度は15.5%と、難関試験です。現場で働きながら合格を目指す受験生にとっては、いかに効率よく学習するかがポイントとなります。


 この問題集は、試験に“合格すること”にポイントを絞って、“出るところを,出る形式”で集中的に学べる過去問を中心とした構成になっています。


 しかし、視点を変えてみれば、“試験によく出るところ”とは、ケアマネジャーとしてあるべき姿を問うているともいえるでしょう。


 ケアマネジャーの試験は難しいですし、ケアマネジャーとしての日々の仕事も、“人”を相手にすることですから、簡単にいかないこともあるでしょう。しかし、ケアマネとして利用者から頼られ、感謝され、そして何より利用者が笑顔に、生きることに前向きになったときの喜びはそんな困難をふきとばしてしまうほど大きいものであるといえるでしょう。


 あなたが介護を受ける立場にたったとき、どんなケアマネに相談にのってもらったり、援助してもらいたいですか。


 第一目標は試験合格ですが、その先の“真のケアマネジャー”を目指してほしい、そして一人でも多く合格してほしい、そんな思いで、毎年、この問題 集をつくっています。

 ひとりでも多くの人が、ケアマネジャーの役割や重要性を理解し、興味をもって、チャレンジしてみたいと思ってもらえることを願っています。

エグゼクティブエディター 羽根田 麻子