天災と天才~熊本を思ふ~


また、また大きな地震が九州で起きてしまった。
地震大国とは言われていても、実際に体験すると本当に恐ろしいものだ。
東日本大震災の時東京では震度5強だったが、それでももう駄目かもしれないという恐怖が頭をよぎったくらいだから、震度7の地震が襲った熊本県では、何処にいても不安だろうし、ましてや倒壊しそうな家の中では眠れないのも当然だ。
私の大好きなスイカを始め、多くの食料を九州に供給してもらっている首都圏は、本当に他人ごとではない。
前震の時に熊本城から上がった粉塵に、一体何が起きているのか暗闇の中では皆目わからず、漠とした不安だけが広がった。ところが、翌日から日を追うごとに現実が報道され本震が起こり、こんなに大きな災害になってしまった。

自然とは、何と大きな力なのだろう!!
九州出身の友人もたくさんいるが、毎年のように「台風が来てビニールハウスがやられた」とか、「今年は雨が少なくて、スイカの出来が良くない」とか、自然相手の仕事は思った通りにはいかない。
それでも、創意工夫をしながら、美味しい食材を提供し続けている、本当に大変な仕事だ。
昨今、農業や第一次産業が見直されてきて、評価も高くなり嬉しい限りだ。
日本が世界から見て安全で安定した国家と認められるのは、第一次産業の方々が勤勉に仕事に従事しているからと言っても過言ではない。
それは飛行機から日本の景色を見ればすぐにわかる。
綺麗に整地された田畑、深い緑の山々、それらを囲む青い海、こんなに豊かで美しい土地や海を持つ国は、数少ない。鹿児島から石垣島まで、小さな島々が点在しながら約800㎞も続く。これだけでもすごい海洋権益だ。だから、どこかの国が狙ってくる気持ちもわからないではない.

でも、自然と戦うことは厳しい戦いだ。理屈も言い訳もない。
何故【天災と天才】というおやじギャグのようなタイトルになってしまったかというと、今回の災害で色々なものを失ってしまった方が沢山おられる。
失ってしまったものは戻らないかもしれないが、必ず何か違うものを得ることは出来る。
そして、私達の血の中には祖先が残してくれたDNAがあることを思い出してほしい。このような窮地の時こそ、今まで眠らせていた潜在能力が発揮できる時だ。よく火事場の馬鹿力という諺がある通り、現代の私達は自分の能力の10%位しか使用していないと言われている。
私は天才とは自分の持てる能力を全て発揮できる人だと思う。
私達日本人は農耕民族であり、こつこつと大切に食物を育てる能力と勤勉さを持ち、自然と共存しながら今日に至っている。
だから、自信を持ってほしい。必ず、自分の目標にたどり着けるという自信を。
そして、夢。何故夢が必要かと言えば、夢は具体的な目標になるから。
スポーツ選手のイメージトレーニングと同じだ。

とは言っても、亀裂の入った道路を見たり、倒壊した家々をみればそんな力は出てこないと感じる方も沢山いるはずだ。
それも当然。大切な家族を失ってしまった方、やっと建てた家が崩壊してしまった方、今までの生活で手一杯だった方。もう疲れたな~と感じたら、全てを止めてしまっても、思考も停止しても大丈夫。何とかなります。そう感じている自分を決して責めてはいけない。
脱力感とか疲労感はメンタルが発信している警告。少しお休みをすれば、必ず力が湧いてくる。子供の笑顔やペットと触れ合っているうちに自然に回復する。やがて、何かしたい、自分の持てる能力を発揮したい、と思うもの。それまで、待つことも大切な経験。この経験がグリーフ(悲嘆)ケアにも役立つ。

このような災害が起こるたびに心のケアが叫ばれる。でも、現実的にはなかなかカウンセラーに相談する機会や時間が難しい。今や、メンタルヘルスはセルフコントロールの時代に入っている。
自分の状態や家族の様子を的確に判断してケアをすれば、すぐに健全な生活を取り戻せる。

とにかく、自信を持って心身共に元気に、明日に向かって生きて欲しい。
健康であれば、必ず自分の能力が想像以上であったことを実感するに違いない。

また、いつも思うのだが、被災地に関する金融の優遇措置があまりに少ない。
二重ローンだとか、復興に関する資金援助がもっとあって良いはずだ。
今後、東京に住んでいる私達としては、長期的な復興支援活動を企画している。
私達のように、被災者の復興を支援したいと思っている日本人が何百万人もいる事を心に留めていただきたい。

最後になってしまったが、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

チーム絆 代表  渡辺 照子